『ヒロイン!なにわボンバーズ』
「罪な安さ、たまらん旨さ」
なかなかいいキャッチ・コピーだ。罪な安さってのが渋い。このコピーを看板に記した酒屋さんが「浜崎酒店」で、東成区の今里しんみち商店街の中にある。この商店街は、中央大通りと千日前通りのちょうど真ん中あたりに、地下鉄中央線の緑橋駅から深江橋駅間、千日前線なら今里駅から新深江駅間の、東西に伸びる一本の通りに、いくつかの商店街が連なってできている。では、そのどこに浜崎酒店があるかというと、実際にはどこにもない。三原光尋という監督が、今里しんみち商店街を舞台にして撮った映画『ヒロイン!なにわボンバーズ』のなかに存在する店なのだ。
『ヒロイン!なにわボンバーズ』の主人公は、浜崎酒店の3代目当主で未亡人の百合子。これがすこぶる元気な大阪のオバちゃん。商店街のモメ事はなんでも一発解決。特に腕力勝負なら負け知らず。そんな百合子が、近くにできたスーパーのオーナー夫人で、小さいころからライバルだった女性が率いるバレーボール チームに対抗すべく、商店街でチームを結成。血と汗と涙の特訓の末、勝利を手にするスポ根コメディ。百合子を演じるのは室井滋だ。
浜崎酒店の店頭では、ホルモン焼きやおでんを売っており、腰掛けて一杯やれるようになっている。ちょっとした屋台の風情で、いい感じなのだ。
実際の今里しんみち商店街にも、こんなお店あるのかなと出掛けてみた。城東運河に架かる「しんみち橋」(『ヒロイン!なにわボンバーズ』のなかで、ここで 室井滋ら商店街チームのメンバーが歌い踊るシーンがある)から、商店街に入ってすぐのところで、浜崎酒店として撮影された酒屋さんを発見。旧い、とても素 敵なお店だったが、そこに屋台のようなものはなかった。でも少し歩くと、百円のお好み焼きを売る露店風の店があり、さらに歩くと、店頭でてんぷらを売る総 菜屋さんや、手作りコロッケを売るお肉屋さんなどが集まった一角があり、気分はすっかりルンルンになる。60円のコロッケ(これがめっぽう旨い)を頬張りながら商店街を歩く。行儀はよくないけれど、こんな風にして歩けるのも、いかにも庶民的な商店街ならではのこと。これも大阪らしい"食べる楽しみ"の一つ と言うと、怒られるかな。
『ヒロイン!なにわボンバーズ』
(1998年 関西テレビ=オフィス・シロウズ)
製作/加藤哲夫,佐々木史朗
プロデューサー/久理耕介,佐藤美由紀
監督/三原光尋
脚本/久保田傑、三原光尋
出演/室井滋,中川安奈,伊原剛志,逢坂じゅん,海原小浜,笑福亭松之助