10月の食材
鮮魚
サンマ(秋刀魚)
ダツ目サンマ科の海水魚である。サンマもいよいよ終盤に入ってきたのが、今年のさんま漁である。今年の8月の出盛りから大型か小型で中型が少なく、脂ののりもよく、9月は評判がよく、よく捌けた。今年のサンマ問題は外交政治まで絡み、外野席のほうがうるさく、外交上の落度まで指摘されていた。
サンマにまつわる話は、いくらでもあり、字数の制限で割愛するが、秋の風物詩としてサンマは愛されてきた。このサンマが冷凍処理されて、年中開サンマが給食のおかずとして出されている。和歌山県ではサイラという。
サンマの食べ方は、塩焼、味噌焼、酢の物、秋刀魚飯まである。最近では高速道路のおかげで、関西でもサンマの造りが居酒屋で流行っている。沖縄には、北日本から航空便で直送され、沖縄でサンマの造りが人気になっている。
アマダイ(甘鯛)
スズキ目アマダイ科の海水魚。長く側扁し、赤アマダイ、黄アマダイ、白アマダイの三種がある。味は白が一番よく、次いで赤で、黄はもっとも劣るとされるが、季節と産地によって異なる。徳川家康が食べて死んだという静岡の興津鯛(おきずだい)は、黄アマダイの干物のことであり、家康は美味しいので食べ過ぎて食 滞(食もたれ)し、食あたりしたという。
アカアマダイは、60センチ位まで大きくなる。太平洋では関東から西に、日本海では山形 以南に生息し、東シナ海までの水深60~100メートルの海底に生息している。シロアマダイとキアマダイは、本州中部以南、朝鮮半島、東シナ海に水深 40~100メートルの海底に穴を掘って、生息している。
旬は寒くなってからで、高級料理に用いられる。塩焼、照焼、蒸物、揚物にもされるが、京都、大阪では味噌漬が最高である。
鱗や腸を取除き、ぱらぱらと塩を振りかけ、しばらくして洗いおとし、水気を去り、味醂でのばした味噌につけ、約1時間ばかりのち、水あらいして布巾でふき、金串にさして焼く。また甘味噌に一晩漬けてもよい。開いて腸を取り、淡塩にして生干したものを、あぶるのも淡泊でよい。また、鱗をひかず、鱗とも食べられ る。尾や鰭を焦しめに焼いて、熱燗の酒をそそいだ風味は、酒の肴としてもっともよい。三枚卸しにして削身にし、酒蒸にすると珍重さける。
カマス(梭魚)
スズキ目カマス科の海水魚。円筒状の細長い体で、頭が長大で唇が尖って歯が鋭い。背は薄黒銀色で、30センチに達し、太平洋から南日本に多い。初秋の頃が旬で、淡泊で美味である。
食べ方は、塩焼がよく、立塩(塩水)に浸けて風干しにするとよく、カマボコの原料にした時もあった。上品な味がしたものである。
塩干魚
塩サバ(塩鯖)
アキサバの旬になると、当然塩蔵された塩サバも登場する。もともと塩蔵加工だから、旬とは関係がないようであるが、サバの旬に食べる塩サバも美味しいものの代表である。
チリメンジャコ(縮緬雑魚)
カタクチイワシや、マイワシ、エソ、キビナゴの細小稚魚を煮干したもので、チリメンイリコともいう。シラス干の中の形の揃った上等なものをいう。関西では水分の少ないもので、関東ではシラス干という。
淡水魚
カキ(蠣)
カキの養殖は古く、中国では西暦420年頃に簡単な養殖が行われていたとされている。日本では紀伊国和歌山藩の殿様・浅野長晟(1586-1632)が、安芸国廣島藩に移住になった時、和歌浦湾のカキを広島の太田川の河口草津村(現在の広島市)に移植して、以後現在まで広島のカキとして名物になっている。 1923(大正12)年頃、現在の養殖方法が考案され、世界各地にまで拡がり今日に到っている。
カキは「海のミルク」といわれるほど栄養に富み、日本はもとより、全世界で食べられ、インドの釈迦、ローマのシーザー、フランスのナポレオンと、美味しさと栄養分は知られていた。栄養については、ビタミンやミネラルなどがバランスよく含まれ、完全食品といっても過言ではない。効果については、コレステロールを下げたり、血圧降下作用や男 性の精力増強、女性の美肌効果などである。
料理方法は、酢カキ、カキ鍋、フライや炒め物など、和洋中と幅広く、加熱処理をする時は、熱をかけ過ぎないのがポイントである。
選び方は、身がこんもりと盛り上がり、つやがあって弾力性に富んだもので、貝柱が身から離れず、半透明なものをよい。
ハマグリ(蛤)
ハマグリは北海道から九州、朝鮮半島、中国沿岸の淡水が流れ込む砂泥地に生息している。現在では国内産は需要の数%しかまかなえず、ほとんどが輸入物にたよっているのが現状である。
量販店で売られているものは、シナハマグリと呼ばれ、国内物と比べれば前後に短く丸い感じがあるが、味は変わらず美味しく食べられる。ハマグリの旨さは、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アミノ酸等がバランスよく含まれており、濃厚であるが上品な味が楽しめる。
栄養的にも良質なタンパク質、脂質、カルシウム、鉄分、ビタミン等を含み、肝臓病や高血圧、糖尿病の予防、歯や骨を強くする作用がある。
料理方法は、焼ハマグリ、酒蒸、吸物、ムキ身をフライにしてレモン醤油で食べる等があるが、あまり熱をかけないことがポイントである。
選び方は、口がしっかり閉まっていて殻と殻を打合せると澄んだ音のするものがよい。
野菜類
ギンナン(銀杏)
中国原産のイチョウ科の雌雄異株の落葉高木であるイチョウの種子で、水分についで、糖質(主にでんぷん・澱粉)が多く、カロチン、ビタミンCも含まれている。焼ギンナン、日本料理(茶碗蒸、土瓶蒸、ギンナン飯)などに利用する。新鮮なギンナンを食べ過ぎると中毒を起すことがあるので、食べ過ぎないようご注 意を。
マツタケ(松茸)
秋の味覚を代表するものにマツタケがあります。最近では外国産のマツタケが、百貨店や量販店、八百屋さんの店頭を飾っています。
キシメジ科のきのこ、主にアカマツの林に発生しますが、日本各地のツガ、クロマツ、ハイマツの林にも自生しています。また、中国、朝鮮半島、ヨーロッパ、北・中央アメリカにも拡がっています。マツタケはアカマツの他に、2~3のマツの仲間の菌根が作った木を中心に円を描いた輪郭上にだけ生え、年々その輪を広げていきます。これがマツタケの"しろ"と呼ばれるもので、"しろ"は林の樹齢が50年位までの若いうちはどんどん広がっていきます。
マツタケは100%が天然物です。明治時代から人工栽培の研究が進められてきましたが、まだ成功していません。国産は年々減少し、今や高嶺の花になってきました。現在店頭に並んでいる90%が外国産です。
柄が太く、弾力があり、笠が5分開き程度で、ひだが白く、湿り気を帯びているものが、香りもありますし、良品であります。
今年(2001年)の輸入の予想数量は、中国40%、北朝鮮30%、韓国10%、カナダ10%、この他に北米、メキシコ、トルコ、モロッコ、ロシア、ブータン等の諸国があります。 今年の生産は、予想以上の猛暑と旱魃(かんばつ)気味のため、前年より10%程度減少すると予想されています。値段は卸値で、100g当り10,000円から800円位まで、輸入品は5,000円位を最高に、曜日や天候、入荷量に左右されて値段がきまります。
焙烙(ほうろく)焼、ハモとエビとマツタケの土瓶蒸、吸物、マツタケ御飯、すき焼、フライ等、各地各様の郷土料理に生かされています。アルミ箔に包んで焼きますと、香りと湿りが逃げません。スダチやカボスの香りを添えますと、なお一層香りが引立ちます。
ジャガイモ(馬鈴薯)
<ナス科の多年草、原産地は南アメリカのアンデス山地、わが国には1576(天正4)年に長崎へオランダ船により持込まれたのが初めとされている。当時のオ ランダ船はインドネシア、ジャワ島を貿易の拠点にしており、ジャガタラ港からもたらされたため、ジャガタライモがジャガイモになったと推定されている。年 中出回って旬がないようであるが、栽培される面積の70%が北海道であり、市場への入荷量は9~10月が最も多く、この時期が旬といえる。
主 成分は炭水化物、ミネラル、ビタミンB、Cなどで栄養価が高い。とくにビタミンCは、リンゴの2倍あり、熱を加えても損失しにくい性質をもっている。バレ イショには品種による特性があり、男爵イモはほくほくとして澱粉質が多く、煮くずれするので、コロツケ、マッシュポテトなどに向いている。メークインは煮 くずれしにくく、煮物に向いている。
サツマイモ(薩摩芋)
ヒ ルガオ科のつる性多年草で、原産地は南メキシコから中央アメリカ、熱帯地域では古くから主食として栽培されていた。日本には1597(慶長2)年に宮古島 に入り、琉球、長崎、薩摩に伝わり、薩摩から江戸に入ったのは、1735(享保20)年八代将軍吉宗の頃。小石川薬草園で試作し成功した後、千葉県幕張で 栽培を開始し、以降各地で栽培されるようになった。サツマイモは世界中で栽培されており、総生産量は1億トンを超えている。
近年貯蔵方法が進歩して1年中出回っているが、旬は7月から3月までの10カ月が最も多く出荷されている。
サツマイモの成分はデンプン、糖分の他にビタミンB1、B2、とくにビタミンCは100g中30mgも含まれ、焼いても、生の時の90%は残る。また繊維質が多く、便秘に効果的である。
果物
カキ(平核無柿)
原産地は日本。ヨーロツパやアメリカでも"KAKI"で通用している。渋柿(しぶがき)の代表的な品種で、和歌山県、奈良県が主産地である。
平核無柿は、甘味とまろやかさ、文字通りタネ(核)が無いのが特徴で食べやすいカキである。 選ぶポイントは、表面の色とつや、張りのいいもので、ヘタは緑色でヘタと実の間のすき間のないものが上手な見分け方である。
効能としては、お酒の悪酔いや二日酔い防止の高血圧などの成人病の予防効果や、ビタミンCが豊富に含まり、シミ、ソバカスにも効能があるといわれ、さらにビタミンA、カリウム等も多く含まれており、栄養価の高い果物である。
リンゴ(林檎)
中央アジアのコーカサス地方が原産地といわされているが、日本には徳川時代に渡来したバラ科の果物である。品種改良が進み、次々と美味しいリンゴが登場してきている。
1日1個のリンゴで医者いらずといわれ、効果はよく知られている。胃腸のバランスをよくし、豊富に含まれる食物繊維は、腸内をきれいにし、消化吸収を助け、コレストロール値を下げる作用があり、高血圧の予防効果のあることもよく知られている。
選び方は、堅くて皮につやがあり、傷のないもので、手にしてずしりとしたものを選ぶとよい。
ジョナゴールド、王林、千秋、フジが代表的な品種である。