11月の食材

鮮魚類

天然ブリ(鰤)

10月時点で、函館(北海道)、八戸(青森県)、舞鶴(京都府)から例年どおり入荷している。4キロ以上の小型で、10キロ以上の大型は11月後半になる。寒くなり水温が下り、成長がすすみ、大型化し、身質も向上してくる。12月に入るとシベリアからの寒波で、脂ののりもよくなり、「寒のブリ」になる。

養殖ブリ(鰤)

養殖ブリ(鰤)

10月につづき、鹿児島県が主体で、一部愛媛県からのものも入荷する。11月は本格的な入荷になり、値段も昨年より若干の弱含みになる予定である。 大阪近辺では、年中養殖ブリが食べられるようになり、季節感が失われてきたが、やはり寒くなるとブリの季節ということになる。これは食べ方にある。

秋サバ(鯖)

秋サバ(鯖)

おなじみのサバである。サバにまつわることわざには、「鯖の生き腐り」がある。大阪周辺ではサバの造りや刺身は食べないが、産地の漁港に行くと、サバの造りは当り前である。サバの鮮度の劣化が早く、長崎や八戸(青森県)からはるばると運んでくるまでに傷んでしまうからである。今では高速道路を使うと半日近くで大阪にまで届くが、30年位前までは2日から3日位かかるのが当り前であった。戦前ではもっと長く、このことわざもその当時のものである。

今季の入荷予定は、北陸、紀州、石巻(岩手県)からのものと、宮城県の金華山沖のものが多くなり、銚子(千葉県)、小名浜(茨城県)に入港し、大阪まで陸送されてくる。「嫁に食わすな、サバ、ナスビ」という程、秋においしいものの代表であった。水温が低下し、脂ののったサバはこの時期一番旨いものの代表で ある。

スルメイカ(鯣烏賊)

スルメイカ(鯣烏賊)

秋のスルメイカは、日本海側では境港(島根県)、金沢(石川県)、太平洋側では三陸沿岸(宮城県・岩手県)から八戸(青森県)、北海道から入荷する。昨年の秋は、北海道沖を中心に予想以上に好魚が続いたが、今年は昨年ほども見られず、入荷はやや減少すると見られている。値段は昨年並と予想。

この月のおすすめ品:マアジ、サンマ、イワシ、マナガツオ、サワラ、サゴシ等

淡水魚類

ホッキ貝(北寄貝)

ホッキ貝(北寄貝)

茨城県鹿島灘以北から、岩手、青森、北海道、サハリン(樺太)、オホーツク海沿岸に生息している。ホッキ貝は正式には「ウバ貝(姥貝)」であり、関東や東 北、北海道でよく食べられ、ホッキ貝(北寄貝)と呼ばれており、その名が全国に広がった。近年は需要が多くなり、近種のアメリカウバ貝がカナダ方面から多く輸入されている。この輸入貝は、国内物に比べると、身の色の赤みが濃厚なものが多い。

ホッキ貝は寿命がかなり長く30年以上といわれている。正式名称の姥貝は、この寿命に由来していると言われている。ホッキ貝の生の時は、薄紫色だが、湯通しすると鮮やかな桃赤色になり、しこしことした歯ざわりと特有の香りと甘味がなんともいえない。栄養的にも、良質のタンパク質やミネラル分が多く、コレストロールの低下や高血圧予防など申し分がない。

食べ方は、生食で造りやすし種、酢味噌和え、焼物、ホッキ飯、汁の具、フライ、天麩羅等で賞味してほしい。

ワカサギ(公魚・若鷺)

ワカサギ(公魚・若鷺)

ワカサギ科の硬骨魚、結氷した湖や川に穴を開けての釣は冬の風物詩である。一般にはワカサギは淡水魚と思われているが、本来は サケ・マスと同様、海に下ったり、川を遡上する魚である。海や真水の淡水湖や川、汽水域に生息することができるので、各地の湖や池に移植され、全国に拡が り、現在に至っている。

ワカサギは、漢字で「公魚」と書くが、その由来は徳川時代に将軍家に献上したとから、公儀御用の魚ということで、この字を充てたとされる。

ワカサギは地方によって呼び名が色々とあり、アマサギ、シラサギ、ソメグリ、オオワカ、サクラウオ等で北海道方面ではワカサギの仲間でチカという魚を区別せずにワカサギと呼んでいる。

食べ方は、唐揚、天麩羅、南蛮漬、佃煮等であるが、大根を桂むきにして、ワカサギに巻いて細いコンブや三つ葉などでしばって煮付にする大根巻を一度試してほしい。

この月のおすすめ品:ホッキ貝、ワカサギ、カキ、ナマコ、サザエ、モロコ

塩干魚類

マツバガニ(松葉蟹)、セコガニ(勢子蟹)

11月6日が解禁で、翌朝7日には初セリである。兵庫県日本海側の津居山、浜坂、柴山、香住の各漁港で水揚げされて、大阪市場に初入荷する。雌はセコガニといって11月から12月ごろが、値段も手頃であり、この時期、関西地域で人気がある。

解禁当初は、毎年、御祝儀相場で高値がはやされるが、10日を過ぎると雄の松葉ガニも共に比較的手頃な値段に落着いてくる。ここ数年、順調な水揚げがあり、昨年よりも1?2割位は安値になる予想である。

ボイルしたセコガニ(雌)は鮮やかな赤みで、美しい色で人目をひいている。手にもって重くてつやのあるものが良い。

ボウダラ(棒鱈)

11月9日、年に1回の入札で値段がきまる。このボウダラは、関西、金沢と一部北九州で昔から消費されていた。このボウダラの原料でマダラは、日・ロ漁業交渉で漁獲量がきまる。今年は資源が減少しているので前年比80%であった。

北海道の利尻島、礼文島のものが最高の品とされるが、最近は対岸の稚内の工場で赤外線による機械乾燥されているものが多い。

原料の大型のマダラは、今年は不漁であり、製品の生産量も前年の80%で減少で推移している。このため主原料の根室鱈が高騰して、原料不足にコスト高の二重 苦になっている。人気のある特大は全体の20%、それ以下、大大は25%、大は35%、特中が20%になっているが、今年の卸売価格は高値が予想されている。

カズノコ(数の子・鯑)

カズノコ(数の子・鯑)

11月20日に塩カズノコの初セリがある。以後、5回のセリで今年のセリ取引は終わる。この初セリ風景はテレビや新聞でご存じだと思うが、年末商材の走りとして、いよいよ暮に近づいたことを知らせる風物詩の一つでもある。

戦後の歴史の中でも、黄色いダイヤといって、一部の悪徳商社がカズノコを投機商材に利用し、荷主の北海道漁連まで巻き込んだことは、読者の中にご存じの方もあるだろう。日本の見通しのない不況の中で、贈答用も縮み現象で、売行き不振が予想され、輸入原料(原卵)の現地価格は20%値下げされたが、為替レートが昨年の値決め時と15%違うので、結果的に15%しか値下げにならなかった。

加工業者も経済の悪化で、過去最低の値段を予想しているが、消費者の購入意欲がどこまで起きるかが、今年の年末商戦の結末になるだろう。

今、市場に上場される塩カズノコは、カナダ物、ローカル物、ブリストル物、ロシア物、韓国物、北朝鮮物、大西洋のヨーロッパ物、カナダの大西洋物がある。

このうち太平洋系のものが、通常の塩カズノコであり、大西洋系のものが味付カズノコで販売されているもの。同じニシンでも太平洋と大西洋とでは、その卵も、日本人には口ざわりが違う。

この月のおすすめ品:塩サバ、塩タラコ、辛子明太子

野菜類

サツマイモ(薩摩芋)

サツマイモ(薩摩芋)

ヒルガオ科のつる性多年草で、原産地は南メキシコから中央アメリカ、熱帯地域では古くから主食として栽培されていた。日本には1597(慶長2)年に宮古島に入り、琉球、長崎、薩摩に伝わり、薩摩から江戸に入ったのは、1735(享保20)年八代将軍吉宗の頃。小石川薬草園で試作し成功した後、千葉県幕張 で栽培を開始し、以降各地で栽培されるようになった。サツマイモは世界中で栽培されており、総生産量は1億トンを超えている。

近年貯蔵方法が進歩して1年中出回っているが、旬は7月から3月までの10カ月が最も多く出荷されている。サツマイモの成分はデンプ ン、糖分の他にビタミンB1、B2、とくにビタミンCは100g中30mgも含まれ、焼いても、生の時の90%は残る。また繊維質が多く、便秘に効果的で ある。

ユリネ(百合根)

ユリネ(百合根)

ユリ科、ユリ属の総称、日本、中国、朝鮮半島に多くの種類が自生しているが、このうち、食用として栽培されているのは、ヤマユリ、コオニユリ、オニユリで ある。食用の球根は鱗茎という地下茎の一種で、葉が変形した白い鱗片が肥大したもの、比較的冷涼な気候を好むことから、北海道が主な産地である。また関西 で好まれ、北海道の全生産量の70%は関西で消費されている。

旬は10月頃から2月頃まで、特に11月から2月は味が良い。澱粉(でんぷん)を多く含み、そのうえ、タンパク質は馬鈴薯の2倍近くある。ほんのりとした苦みと甘みがあり、甘煮、含め煮、キントン、茶碗蒸の種など、料理屋だけでなく、一般家庭でも利用できる食材である。

ブロッコリー

ブロッコリー

アブラナ科、野生キャベツの変種である。ブロッコリ-をさらに改良したものが、カリフラワー。原産地は地中海沿岸で、日本には明治から大 正にかけて移入され、本格的に栽培されるようになったのは戦後。花芽が分化発育して米粒大の蕾(つぼみ)になり、その集合体を塊(かたまり)のまま採取して食用とする。生育の適温が18~22℃なので、品質の良いものが収穫できるのは11~3月であり、冬の野菜である。栄養も豊富でビタミンA、B1、 B2、カルシュウム、鉄分、カロチンなどが多く含まれている。色よく茹(ゆで)てサラダ、バター炒め、シチューなど多くの料理に利用できる冬野菜の一つで ある。

この月のおすすめ品:ナガイモ、ヤマノイモ、ユリネ、ブロツコリー

果物類

ミカン(蜜柑)

ミカン(蜜柑)

日本の代表的な柑橘類(かんきつるい)、ハウスミカンの出現でほぼ一年中その味が楽しめるようになった。11月は早生(わせ)種が出盛りで、和歌山、熊本、愛媛、広島、長崎が主産地である。

美味しいミカンの選び方は、ミカン独特の橙色の濃いもので、果皮がやわらかく、しっとりした感じのもの、ヘタは橙黄色に着色しており、形は腰高のものより、やや偏平なものを選ぶとよい。

ビタミンA、Cが多く含まれ、特にβ-クリプトキサンチンはガンの予防効果があるとされ、β-カロチンに比べて5倍の抑制効果があるとされています。また食物繊維も多く含まれ、腸の働きを良くする効果もある。よく食べ過ぎると皮膚の色が黄色くなることがあるが、これはカロチンの作用による もので、健康上の問題はない。

1日2個のミカンで健康維持を。

カキ(富有柿)

カキ(富有柿)

甘柿の代表的な品種で、種子が少なく渋みのないサクッとした食味が特徴で大玉である。今年は夏の旱魃傾向により、糖度も高く美味しく仕上がっている。

選ぶ時のポイントは、ヘタのところまで果皮全体に赤みがかかっていて、艶(つや)と張りがあり、ヘタが鮮やかな緑色をして、ヘタと実の間に透間がなく、重量感を感ずるものを選ぶとよい。

食べ頃は、表面の堅さが少し緩(ゆる)んだ頃である。

シミ、ソバカスに効果的なビタミンCが豊富に含まれ、利尿効果のあるカリウム、ペクチンなどの食物繊維も多く含んでいる。また最近になってガンの発生を抑制する効果もあると発表されている。

お酒の悪酔いや二日酔いに効果的である話は有名である。

この月のおすすめ品:リンゴ、カキ、新高ナシ、ラ・フランス