1月の食材

鮮魚類

ブリ(鰤)

ブリ(鰤)

シベリア寒波が吹き荒れると、日本海の富山湾や若狭湾にブリの大群が押寄せ、大敷網に入る。この「寒ブリ」が冬の季節の名物であったが、最近の大阪のブリは大半が養殖ブリである。ブリは出世漁で、大きくなるにつれ名前が変わる。この呼び名も地方によって変わる。大阪では、天然物の場合。ツバス、ハマチ、メジロ、ブリと変わる。呼び名とともに食べ方も変わる。春先の3月~4月ころに産卵された稚魚はモジャコといって、8月の終りから10月初めにツバスに成長し煮付によい。10月を過ぎるとハマチに成長し造り用になる。翌年の春先にはメジロになり、この時期には「ネコマタ」といって、魚の好きな猫でもまたいで通り見向きもしない位、味がよくない。その年の秋口から冬場にかけてブリに成長してくる。普通ブリとは5キロ以上のものをさす。2年物、3年ものをブリというが、天然ブリだと10キロから12キロ以上のものを珍重する。北陸地方に行くと、ブリの食べ方も違う。春になって脂の抜けたものをイナダといって干して「出し」にする。関東では天然物の呼び名をワカシ、イナダ、ワラサ、ブリとなる。大阪市場のハマチ・ブリの入荷は、大半が養殖魚である。市民の多くには脂の乗ったハマチやブリが好まれている。

淡水魚貝類

カキ(牡蠣・蠣)

 カキ(牡蠣・蠣)

日本のカキは古くから養殖カキが広島の名産として知られている。大阪には秋口の10月から2月末まで蠣船(かきぶね)が、市中に縦横に通じていた各堀川の橋のたもとに浮かび、冬の風物詩として市民に親まれていた。この蠣船は元禄以前(元禄元年1688年)からあった(現在は1艘のみ)。カキはグリコーゲンを多量に含み「海のミルク」といわれ栄養に富む。カキは吸収のよい有機銅を含み、タウリンも多く、血漿(けっしょう)中のコレステロールを下げたり、血圧低下作用も期待できる。

良いカキの選び方・身がこんもりと盛りあがり、つやがあって弾力性に富んだもの・黒い縁の部分の身の乳白色の部分が際立っているもの・貝柱が身から離れず、半透明なもの

カキを加熱調理する時、熱をかけすぎないことが美味しく食べるコツ。

ナマコ(海鼠)

ナマコは、北海道から九州まで日本全国各地の浅海に生息している軟体動物で、最長30センチメートルにもなる。ナマコの一種で、キンコがあり金海鼠・光海参と書くが、煮干したものを中国貿易に輸出する重要な貿易品であった。産地は三陸地方から北海道、千島、サハリンと広く、とくに金華山産のものが賞味されてきた。大阪湾にも江戸幕府から調達使がきて供出を迫ったが、泉州の漁師たちは、大阪湾にはナマコは生息していないといって追い返している。実際はナマコがおり、堺や大阪の町民たちの大好物であった。ナマコは、関西では赤ナマコ、関東では青ナマコが好まれる。ナマコは90%が水分で、蛋白質が3~4%で栄養成分としてはあまり期待できないが、ナマコに含まれているコンドイチンはE・P・A、リノール酸等と同じように摂取すると高血圧に非常によく、また、皮膚の新陳代謝を活発化させ、皮膚の老化防止にもよく効く。食べ方は、ナマコの腹側を縦に切り開き、はらわたを取除き、砂をよく取り薄塩をよく振り(この時番茶を煮出したものにくぐらせる<茶振り>とよい)、酢で洗って薄切りにし、大根を添えて三杯酢で食べる。

フグ(河豚)

 フグ(河豚)

漢字で「河豚」と書くのは、中国の長江(揚子江ともいう)の河口から200Km上流でも名産になっていることと、腹を膨らませた姿が豚に似ているので「河の豚」と書くという。大阪市場に入荷するフグはトラフグ、カラスフグ、ショウサイフグ(一名ナゴヤフグ)、サバフグである。トラフグ(白)は河豚の中で最も美味である。天然物が中心であった。今年は伊勢湾、遠州灘の天然フグが12年振りの大量入荷に、中国物が飛躍的に伸び、昨年の倍と予想されて4割安になっている。最近は養殖物も増え、1月のおすすめ品にも養殖フグを取上げた。天然物は値段が高く、養殖物のフグは安い。カラスフグ(黒)は味も値段も落ちるが天然物で養殖フグにはない。トラフグの鰭(ひれ)は白いが、カラスフグは黒い。ショウサイフグの皮は金色、サバフグは黒い縞模様が特色である。全国でフグを一番食べるのが大阪であるが、大阪では「フグ」といわず「テツ」といってきた。明治5(1872)年8月17日に(北区)天満町の旅籠屋でフグの肝を食べた5人のうち、2人がフグで中毒死したため、大阪府では9月8日以後、食用、売捌きを禁止した。以後「テツ」という名前で売買するようになった。その後、明治16(1883)年に泉佐野の漁師が、フグを一度に4匹も食ってフグ中毒死した。大阪府警の取締で、正式にフグ販売禁止を徹底させた。そのためか、大阪ではフグのちり鍋を「テツちり」といったり、フグの刺身を「テツさ」といってフグとはいえなかった。テツは鉄砲の略で「あたれば死ぬ」という意味。大阪だけの呼び名らしい。昭和6(1931)年に大阪市中央卸売市場が開業してからも正式に取扱えず、場外の特定業者だけの取扱品になり、戦後になっても続いていた。その後、若手の仲卸業者が運動した結果、昭和43(1968)年12月16日から初めて正式に上場され、セリ取引がはじまった。現在のフグの取扱は、全国の7割を占めるといわれている。天然フグはもとより、養殖フグも大阪市場がなければ消化しないといわれている。

この月のおすすめ品:サワラ、サゴシ、タチウオ、サバ、養殖ハマチ、養殖フグ、マダラ、アンコウ

塩干魚

この月のおすすめ品:新ワカメ、カマスゴ、煮ズワイガニ(松葉蟹)、クロカマスの開物、辛子メンタイコ、干カレ類(ササカレ、ミズカレ)、塩サバ(九州産)

野菜

ダイコン(大根)

アブラナ科の2年草で、原産地はコーカサス南部からパレスチナとされ、また中央アジアも原産地のひとつである。わが国には中国から渡来してきた。『日本書紀』(720年)に「於朋禰(おほね)」として載っている。このことから、かなり古くから伝わったものとされる。1年中出回っているが、旬は10月から3月の秋冬期であり、日本で栽培されている品種には109品種もあるといわれ、世界で最多の種類を誇っている。代表的なものに、大阪の守口大根、京都の聖護院大根、東京の練馬大根、鹿児島の桜島大根がある。全国的に栽培されているのが「耐病総太」、俗に「青首大根」という品種。青首大根は煮物、おろしに好まれ、保存食としての漬物など用途が広く、流通量は全体の90%を占めている。秋冬期の大根は甘味が強く、肉質がやわらかく、煮物にしても大変味のよい季節物である。寒くなると「寒鰤」と炊くブリ大根などは最高である。

ハクサイ(白菜)

はくさい(白菜)

原産地は東南アジア、中国で古くから栽培されていた。明治8(1875)年に時の清国から種を贈られたのが最初。大正期になって全国に普及。日本の野菜の栽培量で一番多いのが大根、2番目が白菜。寒くなり気温が低下すると甘みがのる。白菜にはビタミンC、カルシウム、鉄分、カロチンがあるが、カロリーは少なく、沢山食べても太らないダイエット食品である。食べ方は、煮ても、漬けても、炒めてもよく、寒い時期には鍋物・漬物(とくにキムチの消費が増加している)の他に多くの料理に利用できる。

ネギ(葱)

中国西部が原産地とされ、日本では古くから利用されていた。『日本書紀』に「秋葱(あきぎ)」とある。『本草和名』延喜18(918)年には「ひともじ」として宮中の儀式に使用したとしている。葱には葉を食用にする葉葱と、葉鞘に土寄せして軟白化し、白い部分を食べる根深(ねぶか)葱がある。関西の葉葱、関東の根深葱といわれ、関西では京都・九条で作られた九条葱を中心に葉葱が好まれる。葱は昔から身体によく、葱特有の成分アリルンはニンニクや玉葱と同様、ビタミンB1と結びアリアチンを作る。腸からの吸収がよく、消化、食欲増進をすすめ、硫化アリルは解毒作用、神経を休め不眠症に効く。

この月のおすすめ品:ダイコン、ハクサイ、シロネギ、カブラ、ワケギ

果実

リンゴ(林檎))

陸奥

現在のリンゴは、幕末の文久2(1862)年に越前の藩主、松平慶永がアメリカからリンゴの苗木を輸入し、江戸の巣鴨邸に植裁したのが最初。慶応2(1866)年にこのリンゴの苗木から種木をとり接木したのがはじめてで、明治5(1872)年には、政府は日本最適の果物として本州で栽培を奨励され、現在の美味しいリンゴに結実した。日本で栽培されていて、1月とくに美味しいものはフジ、王淋、ジョナゴールド、陸奥。リンゴは「1日1個で、医者いらず」といわれ、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富。ペクチン、セルロール等の食物繊維と、食物の消化、吸収、燃焼を助けるカリウムが多く、消炎効果のあるリンゴ酸が多く含まれる。便秘、下痢等の腸のトラブル、糖尿に効果的である。血圧を下げたり、疲労回復、ダイエット、二日酔いにもよく効く。
美味しいリンゴの選び方・果皮に張りがあり、軸にしわがなく、ピンとたっているもの。指先ではじくと、澄んだ音のするものが果肉がよくしまっている・お尻の部分が黄色か、赤く色づいたもの手にもった時、ずっしりと重く感じるもの。皮をむいた時、少したつと変色するが、薄い食塩水に10~15分程度浸けておくか、レモン汁をぬるのも効果がある。

リンゴの蜜:太陽の恵みをたくさんうけた果実は、ソルビトールという糖の一種が、空間のある細胞と細胞の間にあふれだしてくる。これが蜜入りリンゴで美味しい証拠。表面がべたつくのは、植物自体の生理現象で「無害」で「食べごろ」のしるし。

この月のおすすめ品:リンゴ、ミカン、イチゴ、アンポ柿、イヨカン