6月の食材

鮮魚類

スズキ(鱸)

スズキ(鱸)

スズキ目・スズキ科で、日本各地、中国沿岸、台湾、朝鮮半島に分布する。背面が灰青色、腹面は銀白色であるが、海域により背側や背鰭(ひれ)に黒斑点をもつ ものがあり、中国沿岸部や有明海産のものはとくに多い。岩礁(がんしょう)や砂礫(されき)の場所に生息。夏季には河川を遡上する。主に夜間に、活動し、カニ類、エビ類、貝、小魚を食べ、非常に貪欲である。産卵期は10~4月でやや深い所に産卵する。

釣、定置網、建網、あぐり網<旋網(まきあみ)の一種>で漁獲する。スズキは、生後1年まで20センチ、2年で35センチになり、この頃までをセイゴという。3年で45センチ、4年で55センチ、5年で65センチ、6年になると70センチ以上になる。3年以上のものをスズキという。

大阪湾には古くから生息していた。幼稚魚は藻場(もば)に生息している甲殻類を食べて成長し、しだいに小型の魚や大型底生生物などに食性が替わる。冬季、外 界に面したやや深い所で生れたスズキの稚魚は、3~4月ごろには内海に移動する。6~7月ごろ体長が10センチ前後になると、内海や汽水域から河川にも上るようになる。水温が低下する9月頃には内海に留まるものを除いて1歳魚の多くは沿岸の深いところに移動する。冬季を越した1歳魚は4~5月ごろになると接岸し、内海に入ってくる。スズキはこのように季節的に規則正しい生活を送っている。

釣師の仲間ではスズキが釣糸を鋭い鰓蓋(えらぶた)で切って逃げるのを「スズキのえら洗い」と呼んでいる。それほどスズキのえらぶたは鋭い。

大阪の夏祭や京都の祇園祭の料理には欠せない。夏はとくに美味しく、「洗い」が代表的な調理方法である。造り、塩焼、膾(なます)にしてもよい。「洗い」の 仕方は活っているスズキの身を薄くそぎ切りにし、氷で冷やしつつ流水をかけ、身をはがして「洗い」にする。スズキの身の活り気がよいからである。

つけ醤油には、紅葉卸しとポン酢に醤油を混ぜたものか、辛子酢味噌がよく合う。塩をふって焼く姿焼にはレモンをふる。

丸のままスズキを奉書に包んで、紙がこげないように、蒸焼にした「奉書焼」は、紙の香りが風味を増して優雅である。島根県松江の名物である。

『料理物語』(1643<寛政20>年)に「鱸の汁は、昆布だしにて清汁(すまし)よし、上置昆布、海髪(おご)も入れ、雲腸(うんちょう)入れてよし、薄味噌にても仕立て候也」とある。雲腸は白子(雄の精巣)のこと。

スズキは白身の代表であり、脂肪分がやや高い。他の成分はタイとよく似ている。ビタミン類、そのなかでもA、Dが多い。

養殖スズキ

現在市中で販売されている養殖スズキは、1975(昭和50)年代初め頃から養殖がはじまった。最初は天然の稚魚を蓄養していたが、1993(平成5)年以 後になって中国から大量のスズキの稚魚が輸入され、養殖スズキが潤沢に供給されるようになった。養殖スズキは中国の大連地方から稚魚を輸入したものが大半である。

この輸入稚魚による養殖 スズキは、日本古来のスズキと少し違っており、中国のものはセブン・スターといって、背中の上部に七つ星をもっている。市場に入荷しているスズキの国内産 と養殖魚の比率は3.5対6.5位になっている。これからはますます養殖スズキの比率が高まるだろう。

この月のおすすめ品:マルアジ、イサキ、タチウオ、カツオ

塩干魚類

塩蔵ベニザケ(紅鮭)

塩蔵ベニザケ(紅鮭)

日本人が現在食べているサケ類には、シロザケ(国内・輸入)、ベニザケ(国内・輸入)、日本海マス(国内)、ニジマス(養殖)、ギンザケ(養殖)、アトランティック・サーモン(大西洋サケ・養殖)、トラウト(<マス>養殖)等がある。

もともと日本で漁獲されるサケ類はシロザケであった。明治後期からはじまる露領漁業によってオホーツク海に出漁することで、ベニザケが漁獲されるようになった。ベニザケは戦前はすべて缶詰にして、米国、欧州に輸出して外貨獲得の役割を担っており、国内では食べることができなかった。日本人の食べるサケはシロ ザケを塩干ししたものであり、塩辛いものであった。

戦後1952(昭和27)年4月28日、サンフランシスコ条約(対日平和条約・日米安全保障条約)の発効にともない、北洋漁場における母船式サケ・マス漁業 が再開された。大阪へは同年6月11日に、北洋漁業のベニザケ、シロザケの冷蔵運搬船の第1船が大阪港へ入港し、人気を呼んだ。この時の魚荷はベニザケが 大半であり、シロザケの比率は少くなかった。次々と入船した魚荷はベニザケの率が高く、この時以来、関西はベニザケがサケ流通の主流になった。

もともと東日本では秋になるとシロザケが産卵のため河川に遡上し、それを漁獲していたので、戦後も主にシロザケが流通している。最近は北海からアトラン ティック・サーモンが大量に輸入され、量販店を中心に販売されるようになり、それ以前の塩鮭の食慣習から、洋風の食べ方に代りつつある。

これからアラスカの新漁がはじまるが、昨年より漁獲量が減る気配で、多くは期待できない。カッパリバーのベニザケが入荷するが、昨年よりは高値の予想である。代わりにロシアの定置網の脂物(あぶらもの)に移る。また日本船によるロシア海域でのサケ・マス漁船(中型船・小型船)も5月15日に出漁しているので、幾分か期待がもてそうだ。今年の鮭鱒はロシア関連のベニザケやシロザケが中心になる予定。

この月のおすすめ品:丸干イワシ、丸干ウルメ

淡水魚介

ウニ(雲丹)

ウニ(雲丹)

食用になるウニには、主にバフン、ムラサキ、エゾバフン、キタムラサキの4種がある。ムラサキウニは産卵期が6~8月、エゾバフンウニは産卵期が7~10月で、丁度これから旬に入り、おいしくなる。

ウニは海域、餌、成熟度によって、色調、香味、軟度がかなり変わる。ムラサキウニは5~7センチで、棘(とげ)は強大で尖っており、棘自身も7センチ程度あり、別名"ノナ"と呼ばれ、北海道南部から四国、九州、香港あたりまで広く分布している。

エゾバフンウニは、5~6センチで、色は暗紫色、暗緑色、黄褐色とさまざまで、生息域は、北海道・噴火湾、津軽海峡と日本海沿岸の対馬海流の影響をうける海域に分布している。

ウニ(雲丹)

栄養価の中で、たくさん含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜の抵抗力増強、眼精疲労の回復、若返りと美容に役立つ。また、ビタミン類B1、B2は、神経細胞の 機能向上に、グルタミン酸は健脳効果が認められているし、ウニのもつ酵素の成分は、アルコールを解毒し、二日酔いに効果がある。さらに、ウニの食用部分は卵 巣のため、消化、吸収が非常に早く、血行をよくする。

食べ方は、ワサビ醤油、すし(軍艦巻)、ウニ丼、蒸ウニ、練ウニ、焼ウニ、エビ、イカ、魚の切身などに塗って黄金焼等いろんな調理の仕方がある。

<ウニのたたき>千切の山芋を半分位すり潰して容器に盛付ける。その上にウニをのせ、ノリ、ワサビを添えて上からカボス(ダイダイ、レモンなど好みで柑橘類は何でも)をかける。柑橘類には相性がよいので、一度ためしてほしい。

ニジマス(虹鱒)

ニジマス(虹鱒)

1877(明治10)年にアメリカ大陸のロッキー山系の渓谷から移植されたのが初めで、ニジマスの養殖技術は魚類養殖の中でも最高技術である。長野県、静岡県、岐阜県、山梨県が主産地で、年間12,000~13,000トンが生産され、鮮魚出荷、釣堀への活魚出荷に、さらに冷凍にしてアメリカなどにも輸出されている。

ニジマスは3~10グラムの稚魚を池入れし、約6カ月で100グラム程になり、主に大消費地の関西や関東の卸売市場に出荷される。海産漁が少なくなる春から秋にかけて量販店などで売られている。

食べ方は、塩焼、アルミホイル焼(レモンをかける)、バター焼、ムニエル、甘露煮、三枚に卸してフライにする。

魚釣等で野生のものが入手したら、寄生虫がいることもあるので生食しないこと、養殖魚は心配はいらない。普通店頭で売られているものはすべて養殖魚と見たらよい。

造り(タデ酢で)、タタキ、酢味噌合え、ナマス、手間がかかるが姿ずしなど調理方法は多用である。

この月のおすすめ品:イワガキ、アユ、ウナギ、バイガイ、オオガイ、ホヤ

乾物類

ソーメン(素麺・索麺)・ひやむぎ(冷麦)

ソーメン(素麺・索麺)

梅雨が終り、夏になると夕食にはひんやりとした「ソーメン」が口によく合う。日本の夏の蒸し蒸しした気候の中で、夕方、ソーメンを口にするのは、大人から子供まで、女でも男でも、日本の風物詩である。

もともと小麦粉を原料にした麺製品であり、『延喜式』(967年)には「索餌(むぎなは)」と書かれている。奈良時代に唐の国から伝来した唐菓子(儀式用の供物)のやり方とされているが、日本神話の三輪伝説には大和(奈良県)の三輪が発生地としている。

こんな古い歴史をもつソーメンも現在の形になったのは、足利時代になってからである。

昔は小麦の生産地で、索麺製造に適した気候風土を利用し、冬季の副業として発達した。最初は大和を中心に、東は伊勢、西は淡路・播磨へと延長して、讃岐(香 川県)の小豆島、備中(岡山県)などが優良品の産地として聞えた。ことに播磨の竜野を中心とした中部地帯が生産額として日本一のめん類の郷(さと)になっている。

ソーメンは乾麺に分類される伝統的なめん類であり、機械製めん類と手延べによるものとがある。

① ソーメン・ひやむぎ(機械製めん)
JAS(日本農林規格)では、乾めん類のうち、角棒状の幅:1.2~1.7ミリ、厚さ:1.0~1.3ミリ、丸棒状の直径:1.3~1.7ミリのものをひ やむぎ、角棒状の幅:0.7~1.2ミリ、厚さ:約1.0ミリ、丸棒状の直径:0.8~1.3ミリのものをソーメンとしている。
➁. 手延べソーメン・手延べひやむぎ
古くから伝統的な方法で作られためん類で、製造工程は機械化している部分もあるが、手作業による製めんが行われている。
めん生地の熟成に時間をかけ、めん線形成まで、ねかしと延ばしの繰返しがあり、めん線の癒着と急激な乾燥を避けるため、延ばしの工程で食用植物油(綿実油・ゴマ油など)を塗布するのが製造の特徴である。
良質な製品は12月より翌年3月までにつくる。製品は倉庫内で梅雨期を過ごす。「厄」(やく)を済ませてから出荷する。厄は製品の油臭さをなくし、グルテンの変性によりめんの歯ごたえを向上させる効果がある。

(ゆでかた)

深鍋にたっぷりと湯を沸かし、ぐらぐらと煮立ったところへ、帯を解いたソーメンをぱらぱらと手早く投入れ、噴上るとコップ1杯の冷水を加え、長い箸で掻き 混ぜ、今度噴上ったら直ぐに火を止めてザルに打揚げ、冷水を放って冷たくなるまで晒す。掻きまわすとき、鉄火箸を使うと油気が抜けるという。
調理法により、食べ方が色々とある。「にゅうめん」、「冷ソーメン」、「煮込ソーメン」、「氷ソーメン」、「海苔巻」

野菜

アオウメ(青梅)

アオウメ(青梅)

バラ科、サクラ属で、アンズやスモモの仲間。高木生核果類である。原産地は中国の四川省や湖南省の山岳部、日本へは奈良朝の頃に、僧侶や貴族が持帰り、神社仏閣、庭園に植えた花梅が、現在の品種の元になった。『万葉集』にも名が出はじめ、詩や歌に詠まれ、全国に拡がった。
ウメといえば6月のこの時期しか出回らないので季節感がある。ウメは大きく分けて大梅と小梅がある。6月になり、最初に出回るのが小梅、6月上旬から中旬が限界、中旬には大粒の大梅が出回るようになる。

梅酒用には大粒の古城、梅干用には南高、白加賀、豊後、小梅が向いている。とくに南高は種が小さくて果肉が多く、梅干用の高級品種として重宝されて、2~3割の高値で売られている。今年は豊作が予想されている。

エダマメ(枝豆・青豆)

エダマメ(枝豆・青豆)

マメ科の1年草、大豆を若いうちに収穫したものがエダマメである。エダマメの親である大豆は、中国東北部、朝鮮、シベリアの野生のツルマメが進化したものと されている。大豆は中国では4000年以前から栽培されていた。わが国では縄文時代の遺跡から大豆の種実が出土しており、弥生時代初期に中国から朝鮮半島 を経て伝えられたとされ、『古事記』や『日本書紀』にも記録されている。

エダマメは最近では冷凍品も出回っており、一年中食べることができる。冷凍品は昨年の2000年には約7.5万トンも輸入されている。1999年の国内産の卸売市場の取扱高は3.6万トンであった。生ものの旬は6月から10月頃で収穫量が最も多い季節である。

莢(さや)ごと茹(ゆ)でて、手早く冷やし、塩をふって食べるのが普通で、ビールのつまみとしては欠かせない夏の一品である。

白身の魚で、タンパク質が多く、脂質が少ない。味が淡泊なので、生食より干物や煉製品(蒲鉾類<かまぼこ>)に向く。ただ鮮度のよいものは造りにできる。軽く塩をふって30分ほど休ませてから降ろすとよい。

この月のおすすめ品:エダマメ、新ゴボウ、シロウリ

果物

サクランボ(桜桃)

サクランボ(桜桃)

サクランボは桜桃(おうとう)とも呼ばれ、多くの種類をふくんでいる。原産地はアジアの西南、カスピ海沿岸から黒海沿岸とされる。甘果オウトウと酸果オウトウが栽培には重要である。

日本では明治の初めころから、甘果オウトウと酸果オウトウが導入されたが、栽培は甘果オウトウのみであった。わが国では甘果オウトウだけをサクランボといっている。

現在出回っている品種には、こんなものが一般的だ。

佐藤錦・・・甘みが強く、香りがよく、たねが小さい。
ナポレオン・・・ハート形で大粒、やや酸味が強いが果汁が多い。
高砂・・・小粒でハート形

選ぶポイントは、果皮に張りがあり、傷のないもので、色が黒ずんでいないもの。軸が緑色でしっかりしたもの。

サクランボは果糖、ブドウ糖を多く含み、果皮の赤い色素は有害物質を抑制し、抗菌作用のあるポリフェノールである。ミネラルも豊富に含み、貧血等に効果があるとされている。6月から7月が旬である。

メロン類

プリンスメロン

ウリ科の1年生草本。アフリカ原産とするもの、アフリカ及び中近東を原産とする二元説がある。起源は古く、中央アジアや中国で早くから栽培がはじまったよう で、紀元前2世紀の中国の書物に記録が出ている。古代エジプトの旧、新帝国時代の寺院の壁画にメロンがあるので、当時すでに栽培されていたことが解る。中国のものはマクワウリで、エジプトのそれは温室メロンになって発達したので、特性を異にしている。

日本に渡来したのはマクワウリが早く、朝鮮半島を経て2世紀ころに伝わり、16世紀前半に中国から「金マクワ、銀マクワ」が、明治時代に中国からマクワウリ が、アメリカ、フランス、イギリスから各種のメロン、とくに欧州系の温室メロンが導入され、現在の品種と栽培法の原型となった。

欧米種の温室メロン系統は日本産に比べて品質は優秀であるが、性質が弱く、多湿を忌みきらうから、日本ではほとんど露地栽培は不可能である。

メロンの仲間は多く、現在500種類ほどの品種があるといわれている。

1.プリンスメロン
ノーネット系(網目のない)の品種で、1955(昭和30)年代に欧州系メロンと日本のマクワウリを交配してできた品種で、出回り量は減少してきているが、非常に香りと甘味の強い貴重なメロンである。
2.ホームランメロン
ノーネット系の品種で、乳白色の果皮で白く、香りは少なめであるが、爽やかな味が特徴である。
3.クレオパトラメロン
ノーネット系の品種で、黄色の果皮で果肉は白く、甘味の強い大玉系のメロンである。
4.アンデスメロン
ネット系の品種の代表的なメロンで、名前の由来はアンデス山脈とは関係なく、開発した種苗会社が"安心です"の意味で略して命名したものである。香りとコクのある甘味が特徴である。
5.クインシーメロン
ネット系の品種で果肉が鮮やかなオレンジ色で、まろやかな風味が特徴で、Bカロチンはカボチャの3倍多く含んでいる。

メロンを美味しく食べるには、選び方より、食べ頃の方が大切である。選ぶ時は(1)ネットが均一で美しいもの、(2)少し縦長で形の良いもの、(3)手にもってずっしりと感じるもの。食べ頃の見分け方は、メロン独特の香りがでていて、お尻の部分を指で少し押してみて弾力を感じるもの、硬いものは常温(室温)で、柔らかくなるまでおいておく。冷やしすぎると美味しく感じないので、食べる1時間か2時間前に冷蔵庫等で冷やしてほしい。
メロンは美味しさの他の、病気等の予防効果のある成分が多く含まれている。青肉系はビタミンB1、赤肉系にはカロチン、ビタミンCが含まれ、肉体、神経疲労の回復に効果があり、余分な塩分を排出する作用をもつカリウムも含まれている。

この月のおすすめ品:スイカ、モモ、ビワ、ブドウ、ハウスミカン