8月の食材

鮮魚類

関西の市場に入荷する夏場の魚には色々ある。とくにアブラメ、アカシタビラメ、オコゼ、キス、マコチ、メゴチ、シマアジ、スズキ、トビウオ、ハモと各種の魚類が、真夏の味として登場してくる。この中で、代表的なものだけを簡単に紹介する。

アブラメ(油女魚)

アブラメは関西の呼び名で、学名ではカサゴ目アイナメ科。30センチ位まで大きくなる。北海道から以南、朝鮮半島南部、黄海に分布している。海藻の多い岩 礁地帯や磯に生息している。10~12月ごろの産卵期に海藻の基部に卵を産み付ける。雄は産み付けられた卵を守り、孵化するまで尾鰭(ひれ)や口を使って 新鮮な海水を送り続けて世話をする習性がある。また、水深1メートルから30メートル位の海藻や消波ブロックの穴などを好み、平生は穴の中にじっとしており、餌が近づくと飛び出して餌にかぶりつき、穴に戻るという。春から初夏にかけてが旬である。鱗(うろこ)が細かく、魚体の表面にぬめりがあり、ぬめりが多く、光沢がよいのは鮮度がよい。体色も濃いほど新鮮で、時間 がたつと色が褪めてくる。 白身の魚で、しっとりとした味が淡泊であり、洗い、造り、照焼、煮付、空揚などに利用できる。

硬骨魚網、カレイ目、ウシノシタ亜目、ウシノシタ科の海産魚。細長い楕円形で、小さい両眼は体の左側にあり、赤褐色で、紫色の細い縦の線がある。 フランス料理のムニエルに使うシタビラメは、大西洋のクロシタビラメで、日本の市場に主に入荷しているアカシタビラメは、ウシノシタ類の中で最も美味し い。本州、四国、九州の内湾などの沿岸に生息している。25センチ位になる。産卵期は晩春から夏にかけてで、定置網、底曳網で漁獲する。 西洋料理、フライ、ムニエルにする。

オコゼ(虎魚)

オコゼ(虎魚)

硬骨魚網、カサゴ目、フサカサゴ科で、頭部の凹凸が顕著で、グロテスクな容貌をしている。背鰭の棘(きょく)に毒をもつ魚。日本近海の代表的なものに、オニオコゼが食用に利用されている。醜い姿に似ず大変美味しく、フグと同様、薄作りにしたり、空揚、吸物にしたりする。

キス(鱚)

キス(鱚)

硬骨魚網、スズキ目、スズキ亜目、キス科に属する海水魚の総称であり、大阪や九州ではキスゴともいう。キスには3属26種が知られている。普通はシロギスのことをいう。この他にホシギス、アオギス(ヤギス)、モトギスがよく知られている。 20~30センチまで大きくなり、円筒形で細長く、口は小さく、側腹部はやや黄色みを帯びている。内湾や沿岸近くの砂底で生息し、外海には出ない。日本では北海道南部から、西太平洋、オーストラリア、東南アジア、インド、南アフリカ東岸までの温・熱帯域まで広く分布している。産卵期は5~9月で、甲殻類や 多毛類を摂取している。

コチ(鯒)

コチ(鯒)

硬骨魚網、カサゴ目、コチ科。千葉県、新潟県以南の沿岸域、朝鮮半島、黄海、東シナ海に分布する。標準和名はコチであるが、他のコチ類と区別するためマゴチともいう。コチ類の中では大きく1メートルにもなるものもある。頭部、体は縦扁(じゅうへん)し、コチ類に共通する独特の形態をもつ。頭部の背面に数条 の骨質隆起線が露出しているが、これ以外に棘や突起物はない。体色は暗緑褐色で腹面は黄白色を帯びている。水深100メートル以浅の砂泥底に生息し、初夏には浅海の砂場で産卵する。コチ類は、20センチ以下はほとんど雄で、これ以上大きくなると雌があらわれはじめ、50センチ以上になるとほとんど雌に性転換する。コチの名前は、神官のもつ「笏(しゃく)」に似ているところから。笏は「こつ」とも読むのでこつがコチに変化したともいう。コチは砂泥の海底に姿を隠し、目だけを出して、小魚や甲殻類などが近寄ってくるのを待ち、パクリと餌にしてしまう。冬は深いところにいて、春になると沿岸 に近づき産卵する。冬の絶食を終えて、沿岸部で餌を食べはじめ、夏になると脂がのって美味しくなる。コチ類にはマゴチ以外に、メゴチ(大阪ではガッチョという)、オニゴチ、アサネゴチ等仲間がいる。 白身の魚で、弾力的な肉質で、甘みがあって美味しい。夏が旬である。フグによく似た歯ざわりで、夏の薄造りや洗いにはコチは欠かせない。塩焼、吸物、天麩 羅など調理方法は多い。

シマアジ(縞鯵)

シマアジ(縞鯵)

硬骨魚網、スズキ目、スズキ亜目、アジ科、側扁し体高は高い。側線には稜鱗(りょうりん)が発達し、濃い緑黄色をしている。約1メートルまで大きくなる。 房総以南、新潟県以南の本州から、インド洋、豪州、ハワイ諸島などの温帯、熱帯の広い海域に分布している。 岸近くから80~200メートル位の水深の瀬や大陸棚上に生息している。産卵期は6~ⅶ月頃で、幼魚はプランクトンを食べるが、大きくなるにつれ、食性が 変化し、成魚になると、主に魚類、甲殻類や軟体動物を食べる。日本で養殖に成功した数少ない魚のひとつである。 トビウオ(5月に紹介)、スズキ(6月に紹介)、ハモ(7月に紹介)は省略します。

この月のおすすめ品:ハモ、サンマ、スルメイカ、シイラ、アオリイカ、タコ、タチウオ

塩干魚類

塩サンマ(塩秋刀魚)

ダツ目サンマ科の魚で、体が長く側扁しており、背鰭(せびれ)が尾に近く後方にあって、顎(あご)は上下とも短い。青みがかった銀白色である。 北海道から太平洋岸に沿って、ⅶ月から春先にかけて南下してくる。今年は7月8日出漁の刺網船が北海道は襟裳岬から東の近海で生鮮サンマの初漁があった。 大阪、東京、名古屋、仙台の各中央卸売市場には10日の早朝の市に初出荷されて賑わった。大阪市場にも昨年より一日早く、北海道東部地区から航空便で到着したが、相場は昨年並であった。大阪でサンマといえば「塩サンマ」のことをさすほどであったが、交通機関の発達から航空便、トラック便によって、漁獲後数日以内に入荷するようになった。サンマの生鮮度は飛躍的に向上するようになった。しかし、大阪のサンマ需要の大半は、依然として塩サンマであり、開干サンマである。 最近では、産地から直接航空便で空輸されているので、「サンマの造り」が一部の人たちで利用されるようになった。今、沖縄県では、北海道からの直送のサン マで「造り」が喜ばれているようである。 さて、サンマと大阪人との関係を調べると、正確な記録のあるのは、大正9年の統計で、生サンマは、イワシ、スルメイカ、ボラについで多い数量になっている。ただこのサンマがどこから運ばれてきたものかは解らない。塩サンマという項目はなく、丸(塩)サンマと開サイラになっている。数量的にはこのサンマは生塩鯖よりも多く、北海干スルメに次いで多い。なお、サイラは 和歌山県や大阪でのサンマの呼び方であった。現在でも「サイラ鮓」は、サンマの鮓として名産の土産物になっている。

この月のおすすめ品:塩鮭、塩サンマ、開物、干カレイ

淡水魚介

アナゴ(真穴子)

アナゴ(真穴子)

硬骨魚類、ウナギ目、アナゴ科。世界中に110種、日本に20種が生息している。ウナギ型で鱗(うろこ)、腹鰭(はらびれ)がない。マアナゴは、側線の孔が尾っぽの方に白点列となり、丁度棒秤(ぼうばかり)の目盛りのように見えることから別名「はかり目」とも呼ばれる。 入荷先は、国内では瀬戸内(兵庫県の明石、加古川方面など)、宮城県、茨城県、東京湾等であるが、年々漁獲量が減少しているため、輸入物(韓国・中国等) に頼るようになった。 アナゴ類には、クロアナゴ、オキアナゴ、ギンアナゴ等が食用(練製品の原料になる)にされるが、味はマアナゴに勝るものはない。 最近では、晩冬から春先に獲れるアナゴの稚魚を「ノレソレ」といって、酢の物や、和え物にして食べる。高知市の特産品であった。 旬は一部の地域では冬場とされているが、関西の好みは産卵前の夏場で、一番脂ののりがよく、身にもたくさんの栄養分を蓄えているので旨い時期である。栄養 的には、ビタミンA、レチノールは魚類の中でも非常に多く、その他のビタミンB1、B2、Cを含み、ミネラル分では、リンが多く、カルシウムやナトリウ ム、カリウムなども含まれている。 食べ方は、蒲焼、白焼、天麩羅、鮓種、八幡巻、煮穴子、焼穴子とキュウリの酢の物等で、その他、茶碗蒸、鍋焼ウドンなどにも焼穴子が使われている。

モズク(水雲・海雲)

モズク(水雲・海雲)

モズクには、太いオキナワモズク(通称:南国モズク)と、細いモズク(通称:糸モズク)がある。オキナワモズクは名前で解るように、沖縄周辺で養殖されて いる。また、細いモズクは石川県七尾方面が有名であるが、他の産地で獲れる量が減少してきている。他の商品にもいえるが、海や川、山などの環境整備が非常 に大切である。 モズクは春から夏にかけて一番成長するため、その前の冬から春先に採取した物を塩蔵保存して利用している。モズクは自然健康食品として、食欲も落ち気味のこの季節に不足しがちなカルシウム、ヨード、鉄分などの栄養分を補給できる。また、O-157等に対しても 殺菌効果がある。 料理方法は、各地方毎に色々あり、沖縄の郷土料理では「スヌイ」と呼ばれ、琉球料理には欠かせないものになっている。この他、味噌汁、うずらモズク、酢の 物が簡単で、色々な味付けを楽しめる。また、冬場にはスープや雑炊(ぞうすい)などができる。

この月のおすすめ品:アワビ、トコブシ、川エビ、ドジョウ(泥鰌)

野菜類

ピーマン

ピーマン

ナス科、トウガラシ属の一年草、トウガラシの辛みをなくし、大形化したもの。語源はフランス語のトウガラシを意味するピマンからきた言葉。原産地は中南米。15世紀にコロンブスがスペインに持ち帰ったものが、ヨーロッパに拡がったとされている。日本には中世から近世にかけてポルトガルより伝えられた説が あるが定かでない。現在のピーマンは明治の初めにアメリカから甘トウガラシが導入されたが、今日のように、日常利用されるようになったのは、昭和30年代になってから。とく に近年は日本人好みの品種に改良され、栽培面積も収穫量も急激に増加している。施設栽培が多く、一年中出回っているが、旬は夏。カロチン、ビタミンC、Aを多く含み、夏のスタミナ源として重要な野菜である。辛い物、甘みのある物、色 も多様化したパプリカなど、料理に合わせて利用してほしい。

オクラ

オクラ

アオイ科の一年生瓜菜、原産地はアフリカ東北部エチオピア、エジプト、スーダンといわれる。日本には徳川時代の末期に渡来し、『開拓使蔵版』(1837 年)に紹介されている。しかし、日常野菜として市場に出回るようになったのは昭和40年ごろからである。 年中出回っているが、旬は夏で最盛期は露地栽培7~8月である。花が咲いて5~6月後に収穫される若い莢(さや)が最もおいしく緑が濃く切り口が新鮮で柔らかい物がよい。莢には粘りがあり、擦り下ろして、とろろの感覚で、また煮物、天麩羅、酢の物、サラダと用途はひろい。 オクラは糖質が多く、カルシウム、カロチン、ビタミンCなどの多くの栄養分が含まれている。

この月のおすすめ品:ピーマン、オクラ、ニガウリ、ズイキ

果物類

ナシ(梨)

ナシ(梨)

ナシはバラ科に属する果物で、ヨーロッパ原産の西洋ナシと日本原産の日本梨、中国原産の中国梨がある。日本梨の栽培は歴史が古く、遠く弥生時代後期の登呂遺跡(静岡県)から炭化した種が、出土している。青梨と赤梨に大別される。青梨の代表が「20世紀」であり、赤梨の代表が「新水」「幸水」「豊水」「南水」で、さくさくとした歯ざわりと、甘くて豊かな果汁が特徴である。水分は90%近くあり、糖質はそのうち10~15%含まれているため、甘みが強く、不溶性食物繊維が豊富に含まれている。便秘に効果があるといわれており、また喘息、気管支炎等に対しても、予防効果がある事が明らかになっている。 選ぶ方法は、果皮に張りがあり、硬くてずっしりとした重い物で、大きさによる味の差は、比較的少ないと思えるが、大きい果実の方が、美味しい場合がある。保存方法は、ポリ袋に入れ、冷蔵庫に入れておくと長持ちするが、食べる少し前に取り出しておくとよい。8月上旬から11月中旬ごろまで、それぞれの品種が出回る。

この月のおすすめ品:ナシ、モモ、ブドウ類、メロン類、スイカ、ハウスミカン