「高山真菜」
高山の伝統と絆と知恵が産んだ自信のブランド
極寒の環境に馴染んだ冬野菜
中国から伝わり日本各地に根を広げた真菜という冬野菜。この豊能町高山地区にも、その気候と土地に順応し、300年以上もの間生産者の方々により伝統を守りながら今も作り続けられている高山真菜という貴重なブランドがあります。
地図で確認した高山という町。北摂山系の山々に囲まれた海抜400mもの高地に存在する隠れ里であったという諸説から行き先に若干の不安がよぎり、最寄りの阪急池田駅からタクシーを利用し向かうことにしました。運転手の方も馴染みのない土地勘からか頭を悩ませ同僚に確認しながら、目的地の高山公民館を目指すこととなったのです。止々呂美、高山口...明らかに景色は山深くなり距離を重ねるに連れ窓から入る風の触感から気温は1度から2度ほど下がっていくように感じました。橋を越え一方通行をグッと上がると約30mごとに標高を上げて行く度に明らかに空気は層となってその風味を変え澄んでいきます。目的地に着いてタクシーから降りると、周囲は真っ白な柔らかい雪に覆われていました。
こだわりの完全無農薬
「昨日は、-3度ですわ。雪も25cmくらい積もったんと違うかな。この辺は寒い時は水が凍って水道が出ない時もありますから...」そう語りながら明るい笑顔で迎え入れて下さったのは、高山生産者組合の組合長、新谷龍一さん。2階の暖のある和室に通していただき、生産者の皆さんと高山真菜について暖かい雰囲気の中、お話を伺うことができました。
真菜はアブラナ科の野菜で、江戸時代からこの高山では栽培が始まり、300年以上もその伝統が守られています。またこの真菜は手間のかからない野菜らしく、「だいたい秋の10月くらいに種をパラッと蒔いたら春まで消毒はしなくていいし、2、3度追肥するだけで後は12月くらいから収穫し始めて序々に出荷して行って、3月末くらいが最盛期ですね。3月最終日曜には真菜祭りもありますしね。」その頃には畑一面が真菜の緑色で溢れるということです。高地での厳しい冬の寒さに耐える高山真菜は、その特徴から虫がつかないという利点もあり生産者の方々は、現在も長い歴史を守り、完全無農薬での栽培を続けています。
風味は笑顔のように柔らかく
「その頃には、芯ができて花袋ができ始めるんです。それを摘んで塩で揉んでお漬け物にするんです。これが美味しいですよ。」と生産者の高木千代子さん、そして中道照代さん。新鮮な内に手際良く作られた真菜漬、高山では大量に漬け込んで、年間を通じて大切に味わうそうです。「この真菜漬と鰹を醤油で絡ませて海苔とご飯で巻き寿司を作るんです。」同じく生産者の中谷清子さんが紹介してくださったこの真菜漬巻きは、高山では定番の料理のようで、その味を思い出されたのでしょうか、生産者の皆さんは笑顔で嬉しそうな表情を見せて下さいました。
味噌和えや白和え、揚げと共に煮付けにするなど、そこに味わう真菜本来の柔らかい、溶けるような食感と口に入れた瞬間広がる甘みに、お膳を囲む時の団欒がひと味加え、高山地区のそれぞれのお宅オリジナルの味わいがしっかりと存在しているように思われました。
ここ高山地区の生産者の方々の絆と生活の中から得た知恵や自信こそが、「高山真菜」の味と伝統を守り続けているのでしょう。そんなことを考えながら戴いた真菜漬のその風味は皆さんの笑顔のように柔らかく格別でした。