頑固なこだわりを持った一杯の珈琲
「オランダ」
アットホームな空気
数多くの電気店が軒を連ねる大阪・日本橋。その賑やかな通りを一歩入った路地裏に「オランダ」はあります。こじんまりとした店のドアを開けると、決して広いとはいえない店内に、客のくつろぐ姿。珈琲の香りが漂うなか、その常連客の1人と楽しそうに会話しているのがご主人の山田哲男さん。奥の厨房には夫人の姿もあり、まるで親しい知人の家を訪問しているかのような、アットホームな空気が流れています。
昭和24年の創業
昭和24(1949)年、創業者である山田さんは現在の地に店を構えます。戦後間もない頃でした。一面の焼け野原にバラックが建ち並び、唯一近くで焼け残っていたのは高島屋だけだったそうです。まだ、誰もが生きることに精一杯だった時期に開店した珈琲店。珈琲という嗜好品を求める日本人は少なく、当時日本に残っていたアメリカ兵の客が多かったそうです。戦争の影響でさまざまな物資が不足していたなか、親しくなったアメリカ兵に珈琲豆を調達してもらったこともあるとか。
女性に好まれる味
ご主人の山田さんのこだわりは、口当たりの良さ。約50年も前の創業当初から、女性にも好まれる味を求めてきたといいます。男性中心の世の中であった60年前から、女性を意識していたという発想の斬新さに驚かされます。山田さんがたてる珈琲の特徴は、時間がたっても風味が変わらず、コシが折れないこと。その焙煎方法には独自の秘密が隠されています。また、珈琲豆の目利きにも頑固なまでのこだわりがあります。天候などで毎年出来ばえの異なる豆は、山田さんが自ら選んで仕入れるそうです。そんな山田さんのモットーはオリジナルを持つこと。「どんな場面においてもオランダのオリジナルでなければならない」と山田さんは言います。
人情味のある山田さんご夫妻

何よりも珈琲を愛し、珈琲作りに専念してきた山田さん。その味はもちろん、珈琲に対する姿勢や人情味あふれる山田さんの人柄に客が集まってくる。取材の最中も馴染みの客とみられる男性が気さくに山田さんに話し掛けてきます。「なんの取材しとんのん?ハンサムに撮ってもらいや」。そんな和やかな時間が、オランダではゆっくりと過ぎていくのです。
●住所/大阪市浪速区難波中2-1-5●電話/06-6641-8238