「高岡福信」酒饅頭

高岡福信

甘酒皮の弾むような歯応えや深い味わい
「高岡福信」の酒饅頭

道修町4丁目の角に店を構える「高岡福信」は寛永元年の創業。大坂の陣で焼け野原となった町がようやく復興したころのことで、市内では最も古い暖簾を誇るお菓子屋さんです。

寛永通宝を商標としているため銭屋と通称され、浪花の人々に親しまれてきました。名物の酒饅頭は、この家の先祖が豊臣家の側近く仕え、点心(おやつ)の御用を勤めていた経験を元に、代々作り伝えてきたもの。

高岡福信

もち米と糀(こうじ)で造った甘酒を皮に練り込んであるので、蒸し上げると酸味を含んだ、ふくよかないい香りがします。冷めると皮が硬くなってしまうので、蒸しなおすか、こんがり焼いて食べるかします。電子レンジでチンとやるとかんたんですが、せいろで蒸すと湯気とともに香りが立ちのぼって、食べる前から美味しい気分に。生地に清酒を混ぜただけの酒饅頭だと時間がたってもそれほど硬くなりませんが、いい匂いがするのは蒸したてを売っているときだけ。また、甘酒皮の弾むような歯応えや深い味わいがありません。

ひょっとすると、この酒饅頭には秀吉のころの糀が生きているかも。トロリと熱い漉しあんで舌をヤケドしないよう、ご用心を。

380年守り続けている手づくりの味
御菓子司「高岡福信」

高岡福信

寛永元年(1624)の創業以来、伝統の味を現代に伝える由緒ある御菓子司「高岡福信」。ビルが立ち並ぶオフィス街の中にあり、そこだけ時が止まったかのような佇まい。店の奥では現十七代目のご主人の手によって、酒饅頭のひとつひとつが丹念につくり続けられています。

まず、生地づくりはもち米と糀(こうじ)を混ぜてねかせることから始まります。発酵したころあいに、さらに小麦粉を混ぜて発酵させること数回。幾年月もの時を経て生かされ続けた糀が、使いこなされた大きな鍋の中で酒精の香を漂わせながら息づきます。

高岡福信

十七代目が最も気をつかうのがこの過程で、「その日の温度にあわせて微妙に調整する」のだとか。充分に発酵を重ね、プツプツと気泡を含んだまさに生きた生地が、こうして毎日つくられます。漉し餡(あん)をくるみ、丸い形に整えられた酒饅頭は、売られる直前に蒸されて店頭へ。もちもちした歯ごたえのある皮からは、ほんのり甘酸っぱい匂い。備中の小豆からつくる漉し餡の味は甘さが後に残らずさっぱりしたもので、相性も抜群です。
「生地の香りのよさ、つややかにできているかどうかが、決め手」。「高岡福信」の酒饅頭、温度が20度を超えると発酵がうまくいかなくなるため、9月中旬から6月中旬にかけての限定販売。手づくりだから1日に150個しかできません。

「大量生産できないのでデパートに卸すのは無理」"手づくり"にこだわる十七代目は、頑固に380年の伝統を守り続けています。

酒饅頭の他にも"東京風カステーラ君が代"や"鶏卵素麺"などの銘菓があります。いずれも年中入手可能ながら、やはり一日につくられる数は限られているのです。

酒饅頭のおいしい召し上り方

「高岡福信」の酒饅頭は材料の関係で皮が早く硬くなりますが、次のようにすれば、おいしくいただけます。

●蒸しなおす

せいろで蒸すのがおすすめです。店で木箱のせいろ入りを買って帰れば、そのまま蒸し器に入れて蒸しましょう。約十分程度、強火で蒸すとおいしくいただけます。鶴田さんは、銘々皿も湯につけて温めておくこだわりよう。蒸し器がない場合は、酒饅頭を炊飯器で炊きあがったご飯の上にのせておく、という方法もあり ます。

●冷凍保存の後で

酒饅頭はお餅と同じように買って帰って冷凍保存すれば日持ちします。冷凍保存したものは、オーブントースターで茶色くなるまで焼いてもよし、揚げて天ぷらにするもよし。ぜんざいに餅がわりに入れてもおいしくいただけます。

●住所/大阪市中央区道修町4-5-23
●電話/06-6231-4753
●営業時間/午前9:30~午後7:30
●定休日/土曜・日曜・祝日
●創業/1624年(寛永元年)
●創業者/高岡福信
●創業地/土佐堀船町